高木彬光先生の描く「神津恭介」は「明智小五郎」「金田一耕助」と並ぶ日本三大名探偵の一人です。ただ映像化も他二人と比べて少ないので、一般的な知名度は低いのかもしれません。もしかしたら十津川警部とか浅見光彦の方が有名かもしれない。ドラマ化って大きいな……。

神津恭介シリーズなら「刺青殺人事件」「呪縛の家」「人形はなぜ殺される」「魔弾の射手」を読みたいですね。(何故かなかなか本屋に売ってない)
本格推理小説の巨人・高木彬光が生み出した、日本三大名探偵の一人に数えられる神津恭介の傑作選。探偵作家クラブで実際に「犯人当て」として出題された、日本の短編ミステリーのベストテンには必ず名前が挙がる密室殺人の傑作「妖婦の宿」と筆頭に、不滅の名探偵が快刀乱麻を断つ十編を収録。クラシックな本格ミステリーに瞠目せよ!
白雪姫
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 緑川鋭二 | 事件の被害者。幸子と駆け落ち結婚 |
| 緑川幸子 | 被害者の妻。美人。白雪姫と呼ばれていた |
| 緑川源一 | 緑川家当主で被害者の双子の兄。独身。 |
| 白取宏子 | 警察官。幸子の妹。 |
| 荻原遼吉 | 源一兄弟の従兄弟。不良青年で画家。 |
| 下村俊夫 | 源一兄弟の叔父。小金持ち。 |
白雪姫の犯人
緑川鋭二を殺したのは兄の緑川源一です。最も最初から殺意があったわけではなく、襲いかかってきた鋭二を返り討ちにしてしまったのです。そしてトリックを使いその罪を幸子になすりつけました。
その後、源一は自殺します。
白雪姫の犯人の動機
鋭二は源一を殺し自分が兄になりすまして緑川家の遺産を手に入れようとしたからです。そしてそれを返り討ちにしてしまった。
源一は弟とは決して仲良くありませんでしたが、自分の許嫁になる予定の幸子が弟に取られたことから復讐心が芽生えました(最も死にかけの時に幸子が源一ではなく鋭二と質問したことでその気持ちも強くなった)。
月世界の女
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 竹内月子 | 事件の被害者。竹内子爵の令嬢。 |
| 白鳥久子 | 月子の親友。彼女の側にいることが多い。 |
| 大倉三郎 | 月子の婚約候補。 |
| 大友竜男 | 月子の婚約候補。 |
| 阿部毅一郎 | 月子の婚約候補。 |
月世界の女の犯人
犯人は竹内月子です。彼女は親友の白鳥久子と入れ替わっていました。月子に入れ替わった久子はそのまま姿を消しました。
月世界の女の犯人の動機
自分のことを真に愛してくれる人と結婚するため。地位や財産目当てではなく、竹内月子本人を愛してくれる男性を探していました。
影なき女
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 相良竜夫 | 私立探偵。三番目の被害者。 |
| 日下部 | 相良の助手。今回の手記担当。 |
| 森島信太郎 | 事件の被害者。事業家という悪徳高利貸し。 |
| 浜田主計 | 森島の秘書。二番目の被害者。 |
| 森島世津子 | 森島の妻。 |
| 菊枝 | 日下部の元妻。 |
影なき女の犯人
森島信太郎を殺したのは浜田主計、浜田主計を殺したのは相良竜夫、相良竜夫を殺したのは日下部です。
この事件は連続殺人ではなく一つ一つが独立した事件だったのであり、模倣殺人でした。
影なき女の犯人の動機
浜田は森島からダイヤ詐取の計画を打ち明けられ、ダイヤを独り占めにしようとそれを逆手にとって彼を殺害しました。日下部は自分を裏切った相良に復讐し、その罪を元妻の菊枝になすりつけようとしました。
それぞれが殺害を行ったため、因果関係はありません。
鼠の贄
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 草鹿雄輔 | 病的に鼠を嫌うザ・一般人。 |
| 草鹿千絵子 | 草鹿の妻。 |
| 矢島満男 | 精神科医。 |
| 津田俊吉 | 草鹿の知人。不良青年。 |
| 白骨死体 | 草鹿家の屋根裏から見つかった死体。津田俊吉。 |
鼠の贄の犯人
犯人は草鹿雄輔で、白骨死体は津田俊吉です。草鹿は病的に鼠を嫌う一般人のフリをしていました。彼は殺した津田俊吉になりすまして生活し、罪を矢島満男と自分の妻の千絵子にかぶせようとしていました。
鼠の贄の犯人の動機
津田が自分(草鹿)を脅迫していたから。
神津恭介に真相を暴露された草鹿は精神崩壊し、ニタニタと笑いながら鼠を口にしました。
罪なき罪人
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 青山正春 | 殺人事件の容疑者。 |
| 青山澄子 | 青山の妻。殺されている。 |
| 真鍋雄吉 | 新聞社の記者。 |
| 佐野俊治 | 反社の兄貴分。結核。行方不明。 |
| 吉屋京子 | 佐野の愛人。飲み屋を経営している |
罪なき罪人の犯人
青山澄子と殺害したのは佐野俊治です。そして佐野俊治を殺したのは青山正春です。
罪なき罪人の犯人の動機
不倫と痴情のもつれ。青山澄子と佐野俊治は不倫しており、澄子の旦那の正春がそれを知って佐野を殺そうと呼び出しましたが、佐野は澄子を殺して正春の前に現れました。そして正春は佐野を殺しました。
嘘つき娘
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 松野菊枝 | 事件の被害者。 |
| 福田慶子 | 洋裁店の針子。嘘つきの癖がある。二番目の被害者。 |
| 野間久雄 | 慶子の現場で見かけた男。共産党員。 |
| 佐久間源一 | 慶子の元カレ。 |
嘘つき娘の犯人
松野菊枝を殺したのは福田慶子です。その後、慶子は自殺します。
嘘つき娘の犯人の動機
恋の復讐。自分が一方的に思いを寄せていた佐久間が、菊枝にとっては数あるボーイフレンドに一人に過ぎなかったため。元々慶子は自殺するつもりはなく、呼び出した佐久間が立ち去るのを止めようと自傷に走りましたが、運悪く急所にあたってしまいました(呼び鈴を押す力も残っていなかった)
原子病患者
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 竹島逸男 | 医者。放射能の研究をしている |
| 木村陽子 | 木村の妻。自称「原子病」 |
| 木村健司 | 病死した男性。結核で急性肺炎で亡くなっている。 |
原子病患者の犯人
木村健司は結核で亡くなりましたが、放射能の研究をしている竹島によって身体の抵抗力をなくされ異常なほどに病弱にされていました。木村健司を殺したのは竹島逸男です。
原子病患者の犯人の動機
惚れていた木村陽子を取り戻すため。木村健司のかかりつけ医になったのを機に、彼の身体に放射能カルシウムを注射し、病死に見せかけて殺しました。
なお、木村陽子は木村健司の骨を食べたため、旦那と同じく身体の抵抗力が無くなっていました。
邪教の神
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 村上清彦 | 事件の被害者。奇っ怪な人形を手にする。 |
| 村上滋子 | 村上の妻。 |
| 犬山直樹 | 村上の友人で美術研究者。 |
| 前田譲治 | 奇っ怪な人形に執着する金持ち。 |
| 飯島敏男 | 村上の死体の第一発見者。 |
| 金原雄策 | 飯島の会社の社長。二番目の被害者。 |
邪教の神の犯人
村上清彦を殺害したのは飯島敏男、金原雄策を殺したのは村上滋子です。この事件は交換殺人です。
邪教の神の犯人の動機
滋子は旦那の清彦の持つ財産目当て、飯島は着服していた横領金が社長の金原にバレないようにするため。
最終的に奇っ怪な人形は前田の手に渡りますが、彼も不慮の事故を遂げてしまいます。
蛇の環
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 松下研三 | ワトソン枠で手記担当。神津の友人。 |
| 水町幻一 | 怪奇作家。 |
| 小宮みどり | 事件の被害者。バーのマダム。 |
| 小宮隆夫 | 被害者の旦那。映画会社の企画。二番目の被害者。 |
| 本田 | 本田商事の社長。みどりのパトロン。 |
| 色川ゆかり | 本田の新しい愛人。三番目の被害者。 |
蛇の環の犯人
小宮みどりを殺したのは小宮隆夫、小宮隆夫を殺したのは色川ゆかり、そして色川ゆかりを殺害したのは最初に殺された小宮みどりです。
みどりはゆかりが飲む錠剤の瓶に細工した毒の錠剤をいれておいたのです。
蛇の環の犯人の動機
小宮隆夫は自分以外の男(本田)と良い関係になった妻のみどりを恨んでいました。ゆかりは共犯になった小宮隆夫のもつ憎悪と恐ろしさに耐えかねて彼を殺します。そしてみどりは自分の旦那と良い関係になったゆかりを憎んでいました。
妖婦の宿
| 登場人物 | 立場 |
|---|---|
| 神津恭介 | 天才探偵 |
| 八雲真利子 | 事件の被害者。男をたらし込む女で有名。 |
| 山部英作 | ホテルの支配人。手記担当。 |
| 小関新八郎 | 新興財閥当主。ホテルのオーナー。真利子の旦那。 |
| 京極鴻二郞 | 京極子爵当主。兄が真利子のせいで自殺している。 |
| 近藤啓一 | 作家。その正体は…… |
| 月川馨 | 映画俳優。真利子の愛人の一人。 |
| 花村敏夫 | 流行歌手。真利子の愛人の一人。 |
妖婦の宿の犯人
真利子を殺害したのは京極鴻二郞です。
京極は神津恭介が変装した近藤啓一になりすまして、神津恭介として振る舞っていました。当の神津は京極のフリをして過ごしていました。
妖婦の宿の犯人の動機
兄を捨て、自殺に追い込んだ真利子を恨んでいたから。神津恭介に事件を暴かれた京極は自殺します。
「妖婦の宿」まとめ
長かった……!
神津恭介が出てくると話が終わるというか、快刀乱麻の勢いでスパッと解決する。イケメン・頭脳明晰・天才の設定盛り盛りの神津先生なのに世間の知名度が低いの、やっぱり実写化が少なかったからでは……????



