【ネタバレあり】横溝正史・金田一シリーズ！短編集「幽霊座」を紹介

紫虹（静雄）と音平を殺したのは民造（篠田アキ）です。篠田アキと紫虹は親子です。当時看護婦だった篠田アキが病気で静養中の鶴之助を逆レイプして妊娠した子が紫虹です（鶴之助の名声と財産目当て）。事件を知った鶴右衛門は篠田アキに金を握らせて遠ざけ、紫虹は自分の子（つまり鶴之助の弟）として戸籍に登録します。

篠田アキは息子の紫虹を殺すつもりはなく鶴之助の息子の雷蔵を殺す予定でした。打ち合わせをしていなかったのか雷蔵に渡る予定のチョコレートが紫虹に渡ってしまったのです。事件を金田一に見破られた篠田アキは自殺します。

まだ子供だった紫虹が自分の子供の光雄を殺し（池に光雄を転落させて溺死させた）、そのショックで産後の妻も亡くなり、光雄が死ぬ現場を見てしまった付き人の仙枝を紫虹が崖から突き落として殺したのを目撃してしまい、紫虹に怯え現世に絶望したため。

鶴之助は巻き添えでバッシングを受けた京三郎に強い罪悪感をもっており、自身が結核で死ぬ前にこっそり京三郎にコンタクトを取って（付き人に自分が着ていた生地を渡す）、自分が失踪した理由を話しました。

鶴之助の後継者としての名声及び地位と、稲妻屋を手に入れて別会社に権利全てを売るため。紫虹は本来ならば鶴之助の嫡男として圧倒的な名声と期待を得られる筈なのに、雷蔵がいることでその場所を奪われていると母親の篠田アキに何度も吹き込まれたことで彼らに憎悪が芽生えました。

音平は、たまたま体が触れてしまったことで民造の正体が女性（＝篠田アキ）だと彼にバレてしまったために殺害しました。逆さまの犬塚信乃のダイニングメッセージは「犬塚信乃＝本当は男性けど女性として育てられた」という設定を逆転した意味で「本当は女性だと男性として生活している」と事を指します。

貞之助を殺したのは泰輔。そして泰輔を殺したのは幾代。

３年前の貞之助失踪は、珠生と貞之助の自作自演騒動。蓮池家直系の珠生は生来「子供ができない体」で、それは当主の紋太夫すら知らないことだった。そのため貞之助と離縁しても紋太夫が新たな婿候補を探してくるため、先延ばし（※紋太夫の寿命を見込んで３年）のために貞之助を行方不明扱いする計画だった。

しかしその計画を知った泰輔が貞之助を殺し、山に埋めてしまった。おこもり堂の鴉の死骸は、貞之助の血を上塗りするための偽装。

蓮池家の後継者の地位と珠生との結婚目当て。泰輔は珠生と再婚するのは自分だと思っていた。

幾代は泰輔の許嫁は自分だと思っていたが、彼がお杉とも関係をもちしかも珠生の再婚相手になる気でいた事を知って、再婚を阻止しようと貞之助が帰ってきたと嘯く。幾代の計画に気づいた泰輔は幾代を殺そうと崖の上に呼び出したが、逆に自分が転落して死んでしまった。

稲川専蔵と牧野アケミ（仮）を殺したのは牧野アケミと伊東欣三です。

殺された生首の正体はストリッパーの牧野アケミではなくその双子の妹の牧野秋子です。首を切って胴体を隠したのは秋子には腹部に傷がありアケミには傷がない（＝ストリッパーだから体を晒している）ため、警察が入れ替えトリックに気づくと睨んだ為です。

稲川専蔵の麻薬財産目当てです。稲川が死んだ後、アケミは稲川の通帳と印鑑で多額のお金を引き出しています。秋子はアケミの双子の妹であり、彼女の身代わりとして殺害された可哀想な女性です。アリバイ工作にも利用され、アケミとして宇之助と一夜をともにしています（そのときに宇之助は秋子の腹部の痕を見ている）。

秋子を殺したのは伊東が住んでるガレージの地下室でした。