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【ネタバレあり】横溝正史・戦前シリーズ!短編集「憑かれた女」を紹介

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横溝正史先生は戦前・戦後と活躍された作家です。戦後は金田一耕助の作品が当たったためか、そちらの事件を多く書いておりましたが、戦前では別の探偵、由利先生シリーズを書いていました。吉川晃司氏主演で一度ドラマ化していました。真珠郎見たかったな~~~~~~~~~!!!!!!!!!
わりと混乱しがちなのですが「蝶々殺人事件」「真珠郎」は由利先生シリーズです。

ゆきんこ

今回は主に戦前の話が舞台になる短編3つです

目次

「憑かれた女」のあらすじ

淫蕩な生活を送る美女が、バラバラ死体の幻想に取り憑かれた。働くこともできず強い酒を呷ってばかりいたが、酒場仲間の血だらけの姿まで幻視するようになる。ある夜、金銭をちらつかせる謎の外国人に目隠しをされてついていくと奇妙な香がたかれた部屋で幻影とおりの死体を目撃するが―――!?
<金田一耕助>シリーズに並ぶ名探偵<由利麟太郎>シリーズ、待望の復刊! 表題作ほか「首吊り船」「幽霊騎手」の全3篇を収録。

あらすじ

エマ子という女性は目隠しと拘束をされた状態で運転手によってとある屋敷に運ばれ、そこにいる外国人の相手をします。話し相手とか。この外国人は美しい女性が好きで飽きっぽい模様。

登場人物作中での活躍
由利麟太郎(由利先生)私立探偵
三津木俊助ワトソン枠。新日報社の花形記者
西条エマ子他人が死体に見える病気に取り憑かれた女性。告白書を書いたのち五月に殺される。
マダムアザミ酒場のマダム。二番目の被害者
井出江南自称探偵作家。猟奇の徒。発狂する
みさ子エマ子の友人。数日前から行方不明になっていた。最初の被害者。
怪外人黒眼鏡とひげを生やした男。正体は井出江南
五月みさ子の彼氏で不良団の長。エマ子を殺して自殺する。
「憑かれた女」の犯人の正体

みさ子・そしてアザミのマダムを殺した犯人は西条エマ子です。エマ子は怪外人(井出江南)に刺激され続け彼女の精神は、あの一夜の女の死体を見たことで完全に平衡を失い、同じようにみさ子を殺して罪を怪外人にかぶせることができると考えた。

みさ子の彼氏である五月はエマ子が犯人だと疑っていて、そのきっかけとなった井出江南と会って彼を殺すつもりだったが、既に彼が発狂しているとわかると、殺さずに生かしたほうがより惨めだろうと思ってのことだった。

「憑かれた女」の犯人の動機

みさ子を殺した理由は常日頃から彼女を殺してやりたいくらい深い恨みがあったから。また同時に自分を突き動かした井出江南に思い知らせてやろうと思ったためです。

アザミのマダムを殺した理由は、耳飾りです。マダムは日記をつけていてみさ子がつけていた耳飾りとエマ子が拾った日程の矛盾点に気づいたため、エマ子はマダムを殺しました。

エマ子を悩ませていた幻覚の正体

バラバラ死体や惨殺死体などに悩まされていた西条エマ子。それを仕掛けたのは井出江南です。

井出江南はエマ子のアパートの1つ上に住んでいる。窓の外に望遠鏡のような管がプリズムのように反射し、バラバラ死体等のフィルムが入った映写機を回転するとプリズムで反転してエマ子のアパートの壁に映るようになっています。

「首吊り船」のあらすじ

政府高官の妻・絹子より、ある男を捜していてほしいと俊助は依頼される。依頼の理由は、白骨化した左手とそこにはめられた指輪が届いたから。この指輪は昔満州にいたときの恋人だった瀬下亮と交換した指輪だった。満州で事業に失敗した父(のちに溺死)をもつ絹子、そして絹子に、結婚すれば借金を帳消しにしようと迫る五十嵐氏。単なる学生だった瀬下亮自身は借金を帳消しにできるほどの財力もなかったが、ある日行方不明に担ってしまった。
そういった話を聞いている中で、船に首を吊った人形、そこにいる髑髏男を目撃したことで事件が始まる。なお等々力警部もこの事件で登場している。

登場人物作中での活躍
由利麟太郎(由利先生)私立探偵
三津木俊助ワトソン枠。新日報社の花形記者
五十嵐磐人政府の高い地位の人。最初の被害者
五十嵐絹子磐人の妻。俊助に瀬下亮探しを依頼する
瀬下亮8年前満州にいた絹子と指輪の交換をした仲。行方不明
尾崎千夜五十嵐家の女中兼話し相手。瀬下亮の妹。
倉石伍六五十嵐夫婦の結婚の晩酌人。二人目の被害者。
島木耕作千夜の幼なじみ。
※首吊り船の犯人

五十嵐氏と倉石を殺したのは瀬下亮。五十嵐氏が妻の絹子を殺そうとしたとき、窓を破って背後から五十嵐氏を一月で殺害する。そして絹子に罪が被らないように、倉石と絹子蛾二人っきりで話しているときも、彼を一突きで殺している。

五十嵐氏は瀆職事件の嫌疑の手が及び、摘発の可能性が高かった。そのため自殺したように見せかけて、首吊り船に自分の人形を吊って絹子と俊助に見せていた。絹子は一発であの髑髏男の正体が旦那の五十嵐氏だと気づいていた。

※首吊り船の犯人の動機

瀬下亮にとっては自分を腕を切り落とした上匪賊の群に引き渡した五十嵐氏たちへの復讐。
また絹子自身も五十嵐氏を父の敵と憎んでいた。絹子は家業が傾き父も非業の最期(五十嵐氏が殺害した可能性が高い)を遂げてしまったため、五十嵐氏に嫁ぐことになった。

「幽霊騎手」のあらすじ

由利・三津木コンビの事件ではない話。世間では「幽霊騎手」という富豪を狙う怪盗が話題。幽霊騎手という舞台の主人公を演じる役者、風間はある日の夜幽霊騎手の格好をして黒沢邸にくるように、という女性の電話を受ける。黒沢の奥さんに友愛を感じていた風間は幽霊騎手の格好で黒沢邸に向かう。するとそこには黒沢の主人剛三がストーブに顔を突っ込み大やけどで死んでいた。風間は幽霊騎手を犯人に仕立てつつ、幽霊騎手からの手紙を持って帰ってきたことから事件が始まっていく。探偵というよりも冒険譚?

登場人物作中での活躍
風間辰之助主人公。役者で幽霊騎手を演じる。
幽霊騎手紳士強盗。富豪連中を狙っている
高木夫人理学博士の夫人。半年前に幽霊騎手の被害に遭った人
高木慎吾著名な理学博士。医師免許も持っている。三番目の被害者。
音丸新平風間の弟子。女房兼女中兼コック兼執事
黒沢剛三妻と仲がよくない。最初の被害者。実は生きている。
黒沢弓枝剛三の妻。
南条三郎東都新聞社きっての敏腕記者
白石信二高木博士の甥で黒沢家の家政婦お君と懇ろな仲。実は逆に殺されている。
田代倫造弓枝の父親。一夜にして大金持ちになる。作中前で既に殺されている。
お君黒沢家の家政婦。四番目の被害者。
熊吉老人弓枝の祖父。体が不自由。二番目の被害者
「幽霊騎手」の犯人

白石信二、熊吉、田代倫造・高木博士・お君の五人を殺したのは黒沢剛三です。

黒沢剛三を拷問にかけたのは高木博士と白石信二の二人です。彼らは金塊の在処を吐かせるべく、黒沢を拷問にかけました。彼の手足が焼け爛れていたのはそのためです。黒沢が気絶してお君と高木博士は席を外します。しかし一人残った信二がいるとき剛三は目を覚まし、隙を突いて信二を逆に殺して自分の身代わりにしました。

また弓枝の祖父・熊吉も殺して金塊の近くの地下に捨て、金塊の番人の身代わりになったのです。

「幽霊騎手」の犯人の動機

田代倫造・黒沢剛三・白石信二の三人は満州で金塊(奉天)を発見して持ち帰えるも、田代が独り占めして隠してしまった。その金塊を巡っての争いです。そのがく一千万。この金塊は樽に入っており、最終的に警察の所に御用となりました。(金塊の出所もはっきりしているので大手柄だという)

それらに関わった高木博士の復讐を恐れた黒沢は熊吉老人に変そうし、機を狙っていたわけです。

「憑かれた女」のまとめ

金田一耕助シリーズとは違い、戦前の探偵活劇作品。由利先生の快刀乱麻を断つごときの爆速解決は、金田一耕助ではあまり見られない展開だと思いました。あっという間に解決してる。

また「幽霊騎手」の風間も今作限りのキャラクターのようで、中島先生も解説で話していますがもったいないと思いました。探偵でもない、役者側からの解決がとても面白かった。音丸くん誰よりも優秀なワトソン枠だと思う。

表題作の「憑かれた女」はドラマ化してます

今回も画像はこちらからお借りしてます

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